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時間を止めて 一人にさせないで

どちらからともなく始めたキスに終わりはなく、室内には2人の吐息と時折混じる自分の声が響いていた。 ツナの薄い背中に自分の手の居場所を探していた。 何度も何度も角度を変えて、奪われる酸素を必死に取り戻そうとしていた。 それも見つかって息をする隙…

つづきだよ!

カーテンの隙間から漏れる日差しが瞼をこじ開けようとしていた。 ふわふわする鼻先の感触の主を知りたくてゆっくり目を開けた。 銀色の髪。腕に、全身に感じるぬくもり。 隼人がすぐ傍にいることにこんなに嬉しいと思っている自分がいる。 でもまだ、この幸…

16話

部屋に入ってドアを閉めてもまだ誰かに見られているような気がした。 でもこの部屋の窓は全てカーテンできっちり閉めてあるし、ほかに覗けるような隙間はない。 きっとさっき玄関を閉めるときに感じた鋭い視線の印象が焼き付いて離れないだけだ。 それよりも…

15話

「…あ、あの、十代目?」 「なに?隼人」 「…いつまでこうしているおつもりでしょうか…」 「俺の気が済むまでv」 「…」 十代目に嫌われていないみたいなのはよかったけれども。ツナに抱きしめられながら隼人はそう思った。 しかしここはボンゴレの屋敷の正面…

14話

骸が去った後、俺はそのへんの木の下に腰を下ろした。屋敷からも見えないだろうその場所で、一人考えたかった。これまでのこと。そしてこれからのこと。十代目に婚約者が出来て、嫌いと言われ、辛いのにクビにもさせてもらえない。思い出して少し泣きそうに…

13話

ボンゴレの屋敷は山奥、というわけではないが、そこそこ緑溢れるちょっと高い丘みたいなところにあったりする。そんなわけで屋敷の庭も緑豊かだ。ボスが日本から取り寄せた(嫁入り道具といわれている)桜の木を中心に同じ高さに切られた芝生が広がる。いたる…

12話

「……いま、なんて?」 「ボンゴレを辞めさせて下さい、と」 うそだ そんなの きこえない 最近朝が来るのが辛い。自分では頑張っているはずなのに、なぜか空回りしてしまったりするからだと思う。それに朝、隼人が部屋に来なくなった。コレはきっと気のせいな…

昨夜は眠れないと思っていたが、結局疲れが勝って眠ってしまった。いや、いいことなんだろうけれども。でも結局あの人をすきという事実は変えられないまま、何の解決も導き出せないまま明日が来てしまった。昨日はあんまり冷たくされなかったけれども、今日…

続き

昼間は上手くやれただろうか。上手く笑えていただろうか。 夜になって私室に戻った俺は、緊張で縮こまっていた心臓が一気に動く振動に思わず胸を押さえた。 正直、十代目が彼女に触れているのを見たときは、今朝の決心が揺るぎそうになった。自分がされたこ…

続き

青々とした芝生と木々に、色とりどりの鮮やかな花。気候はとても穏やかで日本の春のように暖かい。 そんな日には隼人とテラスで日向ぼっこでもしていたいと俺は思うけれど、現実にはそうもいかない。今日も俺の婚約者である彼女が来ているのだから。彼女が来…

そしてまた続き

目が覚めたとき、枕はしっとりと冷たくなって昨夜の名残を残していたのに、それとは裏腹に朝日はとてもまぶしかった。朝はいつだってやって来る、なんて台詞を思わず思い出してしまった。こんなに絶望していてもそれは世界の、宇宙の一端でしかないというこ…

続き(59sideに戻ります)

激しく打ち付ける重厚な木と重い金属の音。それは寝静まった廊下だけではなく、俺の心にも響いた。本当かどうか未だに信じられないが、うんともすんとも言わないボスの執務室のドアを見る限り、これ以上何も無いのだろう。否定なんて。俺のことが嫌いだなん…

隼人が可哀想なお話の続き 27side

俺が触れていくものが次々に音も無く消えていく。いや、正確には蒸発しているのだ。大空のリングを宿したグローブをはめている俺は、高ぶる感情を制御しきれなくてモノに当たっている。わかってる。こんなコトしたって何にもならない事くらい。自分のせいだ…

Mi segni?

この青い空の下で 貴方は何を想っていますか? 僕は 貴方の言葉一つで 全人類の全ての願いがかないますように、なんて そう思う位嬉しくなってしまいます メールを送ったのに返事が来ない。 俺は、いま、隼人を出張させたことをものすごく後悔している。自分…

080424の続き

ボンゴレファミリーのディナーはいつも屋敷内に居るファミリーのほとんどが集まる。十代目が、そうしたいとおっしゃったからだ。もちろんリボーンさんをはじめとするアルコバレーノ達も大体集まってくる。こうしてみんなでテーブルを囲んでいると、本当の家…

(080422の続き)

十代目の婚約者は、俺の家みたいな良家のお嬢様で、所謂政略結婚で来た女だった。甘いは知っていても、マフィアの世界の酸いは知らないような箱入りだ。始終にこにこしていて嫌々来ているかんじではなく、十代目のことも気に入ったみたいだ。俺にも笑顔を向…

(080418cauchemarの続き)

そっと言葉にすれば、アイスみたいに溶けてしまいそうだ 目の前の貴方は、綿菓子が揺れる様に微笑む 俺の金平糖みたいな心は、この人の前でだけ、つのを無くす そして、生クリームより甘いキスをする それがずっと続くんだと思ってたのに、運命はなんて残酷…

バトン

もこさんから「りぼーん」で回ってきたんだけどこれはどういうことなんだろ…「REBORN!」に直してあの漫画について語ればいいのかな?そういうことにしよう。では手短にお答えしましょう! 【REBORN!】について 1 最近思う【REBORN!】 最近はむっくのことば…

cauchemar (10 years later)(080414ただ一つ俺の恐れる事は、貴方に捨てられることだけ。の続き)

恋とはどんなものだろうか。 俺にとって恋はもちろん嬉しくて、楽しくて、幸せなことだ。 だけど、恋をしている自分は仕事のときとは裏腹に些細なことで揺らぐ。 感情が制御できない。急に不安になる。あの人のことばかり考えてしまう。 そう、恋は、病だ。 …

こんな感情、知らない 6918(10 years later)R15

僕らは目が合うと、互いに殺気を惜しみなく発して、どちらからともなく牙を交える。いつだって。勝負は邪魔が入るのがいつものことだけれど、たまには違う結末がやってくる。 「どうしたの?殺る気無いの?」 僕らは真剣勝負の最中でも会話をやめない。挑発…

ただ一つ俺の恐れる事は、貴方に捨てられることだけ。 (10 years later)

終わりはいつか必ず来る。それがひとつの生きている証でもある。人間という限りある命を持つ生き物に生まれたからには、必ず通らなければいけない終末。そしてそれは命だけではなく、物事にも同じように適応される。今着ているスーツだってあと何回か着たら…

家族という名の仲間達 (ツナ獄のつもりでしたが特にCP色は無いかんじです)

なんだか暑くて俺は掛けていた毛布をずらした。だんだん頭が起きてくると、背中がちょっとしっとりしている気がした。まだ冬じゃなかったっけ?そう思いながら布団から出て窓のほうを見ると、カーテンから今までとは比べ物にならないほどの光が部屋に窮屈そ…

A domani おまけ R27(about 5 years later)

一段落したところで俺は無性に気になってたことがあった。 「なぁ、ここに座らせるって決めてたんならなんであの時さよならなんて言ったんだ?」 「さよなら?」 「ってめ!忘れたとは言わせねぇぞ!Arrivederciって確かに聞いたぞ!!」 「え、あれって『ま…

A domani R27(about 5 years later)(080402Arrivederciの続き)

あの後、就任式は滞りなく行われた。特に事件や事故があるわけでもなく順調に。そう、順調すぎるほどに。こうなるように仕向けたのは自分なのに、いざ上手く事が進むと面白くない、と思ってしまう。壇上に上る白いスーツの彼は見た目以上に成長しているのだ…

髪に触れれば、君が自分に気が付いた

夕暮れの近づいた教室には俺と獄寺くんしかいない。もうすぐ下校時間なんだ、生徒がいないのは当たり前だけど。2人っきりだとなんだか居心地が悪くて。そう思うと、意識してるんだと自覚してしまうと更にドキドキする。でもそう思っているのは俺だけだ。獄寺…

Arrivederci R27(about 5 years later)

春は出会いの季節だと言うけれど 今年の春は、俺にとっては別れの季節でしかなかった 日頃から身近な人間に対して別れを意識しているから あまり深く関わらないようにと自分に規制をかけている だからなのか死という別れに対して悲しみは無縁だ それにとっく…

éternel (10 years later)

俺はこの人と一緒になってから常々考えることがある。それは永遠の時間。永遠の命。彼とずっと一緒にいられればいいといつも願うが、それは俺や彼が望まなくともあっけなく訪れるかもしれない。ましてや死と隣り合わせの日々を選んでしまったのだ。永遠なん…

俺の幸せを、君とわかちあおう

カーテンから零れるまぶしい日差しに目を覚ますと、隣に愛しい君は居なかった。代わりに美味しそうな味噌汁の匂い。俺はだるい体を起こしてキッチンに視線を向ける。そこに彼は居た。獄寺君は一人暮らしだからなのか少し料理が出来るみたいだ。俺から見たら…

kiss me please

全てを包み込むような大空の下、学校の屋上で俺と獄寺君はなんでもないような話に夢中になっていた。こんな時間が一番愛しいんだと気づいたのはごく最近。喋りつかれたのか、お腹いっぱいになったからなのか、目の前で眠る彼を見つめる時間ですら、他のどん…

黄色の声に圧されながら (about 5 years later) R27

抱きしめたその体はあったかくて、やわらかくて、ほんとに子供だった。 出会った時は赤ん坊で、肩に乗るくらい小さかったリボーンは、数年経つとだいぶ大きくなった。俺も背が伸びたから差としてはあまり変わらないが、それでも大分成長しているんだと思う。…