kiss me please

全てを包み込むような大空の下、学校の屋上で俺と獄寺君はなんでもないような話に夢中になっていた。こんな時間が一番愛しいんだと気づいたのはごく最近。喋りつかれたのか、お腹いっぱいになったからなのか、目の前で眠る彼を見つめる時間ですら、他のどんな時よりも幸せだ。俺の膝枕で寝てる君は、何にも警戒してないみたいだ。それに俺をほったらかしてさっきから幸せそうな顔で寝てる。


貪欲な俺はこれを黙ってみてるなんて出来なかった。
「獄寺君、おきて」
「んぅ〜〜…」
「獄寺君」
「ん〜〜……」
いっこうに起きる気配が無い。疲れてるんだろうか?でも昨日はしてないし。特に疲れてはいないはずなんだけどな。
「獄寺君、起きないと次の授業に出れないよ」
「んー……」


この状況を打破すべく俺は、次のプランに移った。
「起きないとキスするよ」
「……ぇえっ?!」
「あ、起きたね」
えらいえらい、と勢いよく起きた彼の頭を撫でてやる。ついでにちょっとだけついた寝癖を直した。獄寺君はぼーっと俺のされるがままになっている。
「さ、じゃぁ行こうか」
跳び起きた獄寺君は実に面白かった。それだけで俺は満足したので、いそいそと立ち上がった。すると立ち上がろうとする俺を阻止する手が。
「あの、十代目」
「なに?」
獄寺君は寝ぼけているのか、何だか目線が俺と地面を行ったり来たりだ。何か言いたいことがあるんだろうか?とりあえずいつまでも中腰は辛いので、彼の手を取って一緒に立ち上がった。彼の手を掴んだままで俺は聞いてみた。
「どうしたの?」
「さっきの、起きないとって…」
「ああ、大丈夫。起きてくれたからしないよ」
「…そうですよね、起きてしまっては無効ですよね」
獄寺君は残念そうな顔してちょっとだけ笑った。けどこんなチャンス俺が逃すはず無い。
「じゃあ、おはようのキスならあるけど?」
「!」
俺が俯いている獄寺君を覗き込んで言うと、彼の顔はみるみる赤くなっていった。
「…それ、お願いしてもいいですか?」
「もちろん」
俺が笑顔で了承すると、君も俺の大好きな笑顔になった。


君の困った顔も、泣き顔も好きだけど、やっぱり笑顔が一番だ。


全てを包み込むような大空の下、俺達は何度も唇を重ねた。









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昨日は溜まったアニメ見てたら時間が無くて書けませんでした…。しかも一日空けて書いたのがこんなしょぼいのだなんて…!もっと精進したいと思います。