080424の続き

ボンゴレファミリーのディナーはいつも屋敷内に居るファミリーのほとんどが集まる。十代目が、そうしたいとおっしゃったからだ。もちろんリボーンさんをはじめとするアルコバレーノ達も大体集まってくる。こうしてみんなでテーブルを囲んでいると、本当の家族みたいだ。今日はいつものメンバーに加えて十代目の婚約者である彼女も座っていた。あろうことか俺がいつも座る、十代目から見て右側の席に。俺の居場所が無くなってしまった気がした。席を取られただけで、この女を憎いと思うのは幼いだろうか。でも思うだけなら許されるだろう?俺がじっと席を見ていると、十代目と目が合った。
彼は俺を見て、笑顔の下に悲しみを隠した。




***




「……隼人、」
ディナーの後、彼女は自分の屋敷に帰った。その見送りから戻ってくる十代目を、俺は彼の部屋の前で待ち伏せしてたわけだ。十代目はドアの横に立つ俺を見つけると、悲しそうな顔をした。
なんでそんな顔するんですか。悲しいのは、俺じゃないんですか。十代目は、どうしたいんですか。
俺はなんとも表現できない感情を押し殺して、十代目と向き合った。依然彼の顔は切なくなる表情だ。普段だったら、こんなことがなければすぐに彼の心を癒してあげたいけれど。あいにく今回はそうはいかない。
はっきりと、どうしてか、教えて欲しい。話はそれからだ。
俺は何も言わずにドアを開けた。ここに一歩入れば、始まる。




しかし十代目は入ろうとしなかった。
仕方ないので俺は話し始めた。


「十代目、どうして…なんですか?」
「………」
やばい、泣きそうだ。気丈に振舞って、感情的にならない様に話し合おうと思ってたのに。
「…俺のこと、」
なんでだ。彼女を紹介された朝だって一緒に迎えたのに。
わかってるさ、いつかは十代目だってボンゴレのボスなんだから、良家のお嬢様を適当に見繕って、結婚でも愛人にでもして、そうしなけばいけなくなる日も来るんだって。でも一言くらい教えてくれたっていいじゃないか。
俺は、あなたの、なんだったんですか?


「嫌いに、なったんですか?」


俺はもう我慢がきかなくなって、俯いて言った。彼が何を言っても、涙がこぼれそうだ。




「そうだよ」






十代目はそれだけ言うと、部屋に入ってドアを閉めてしまった。
後に残ったのは、崩れ落ちる俺と
彼の残り香が微かに香るだけ