14話

骸が去った後、俺はそのへんの木の下に腰を下ろした。屋敷からも見えないだろうその場所で、一人考えたかった。これまでのこと。そしてこれからのこと。十代目に婚約者が出来て、嫌いと言われ、辛いのにクビにもさせてもらえない。思い出して少し泣きそうになった。
骸の話から、十代目が何か隠しているということがわかったが、一体どんなことなんだろうか。それと俺のいまの悩みとはつながるんだろうか?でも最近の十代目の行動からしてきっとこれが当たりに近い気がした。これに賭けるしかないともいえたが。


空の色が赤くなってきたことで俺は随分長い時間屋敷から出ていたことにやっと気づいた。いそいで立ち上がって屋敷に戻ろうとした。そろそろ寒くなるな、と冷たい空気を感じながら。頭もこの空気のせいか随分さえてきたように思えた。この希望を落とさないように、いま手に入れたばかりの勇気を無くさないように、俺は屋敷の扉を開けようとした。


しかし扉はひとりでに開いた。
が、扉がひとりでに開くはずはなく、反対側には人の姿が見えた。


「こんなところにいた…」


それは焦った顔の十代目だった。彼は俺を見ると一瞬驚いてからよかった、と俯いた。肩で息をしていた。そんなに探し回って、何かあったんだろうか。
「何かあったんですか?!」
「え…?ああ、あったよ」


「君がいた」


気がつくと俺は十代目に抱きしめられていた。なんで今更と、突き飛ばしたい衝動になんて刹那も感じなかった。
「よかった、はやと…」
「じゅう、だいめ?」
「さっき執務室から出て行った後、君が屋敷にいないから、出て行っちゃったんじゃないかと思って」
「そんな、」


思えばここ数日間、いままで当たり前のようにしてきたことが出来なくなって。
貴方のことも少しずつ知っていったのに、急に全部わからなくなって。
でもそんなのも、この思いも全部消してしまえるくらい
いままでの痛みが幻想なんじゃないかって思うくらい


この愛おしい時間が現実でありますように







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あと6話くらいで終わる予定です。なんだがツナが都合のいいやつみたいに見える…。だってそうだよね。”嫌い?→そうだよ”って言ったのに獄寺に気安く話しかけるし、”辞めさせはしない”ってきつく言っておいて結局こ れ か …みたいな。私ならこんな彼氏はいやだ。書いててそうおもったよ。


でもツナのことすきですよ!
ほんと捏造しててすみません!