家族という名の仲間達 (ツナ獄のつもりでしたが特にCP色は無いかんじです)

なんだか暑くて俺は掛けていた毛布をずらした。だんだん頭が起きてくると、背中がちょっとしっとりしている気がした。まだ冬じゃなかったっけ?そう思いながら布団から出て窓のほうを見ると、カーテンから今までとは比べ物にならないほどの光が部屋に窮屈そうに差していた。光に裸足が触れる。暖かかった。もしかして、と思って俺は勢いよくカーテンを開けた。
そこには春が来ていた。


新学期。桜前線は並盛にも訪れていて、学校へ向かう俺を桜の花びらが祝福してくれてるみたいだった。4月になって久しぶりに学校に到着すると、校門から騒がしい声が聞こえてきた。
「なんでてめーもここにいるんだよ!野球バカ!!」
「いいじゃねーか。俺もツナ待ってんだ」
「十代目をお迎えするのは俺だ!!」
「あの、2人とも…」
俺は騒がしい(といっても9割がた獄寺君が叫んでるだけだ)2人、獄寺君と山本に声を掛けた。
「十代目!お待ちしておりました!」
「よーツナ!元気にしてたか?」
「う、うん。おはよう、2人とも」
獄寺君は俺を見るなりぱっと笑顔になった。彼をこんな表情にさせるのは俺だけだと思うとちょっと優越感に浸れる。山本も元気そうだ。それにしても2人とも校門で待っててくれるなんて。こんなの去年までの俺には無かったことだな、凄く嬉しい。


新学期といえば、まずクラス替えの発表が待っている。俺達は校門からちょっと進んだところまで歩き始める。どこにあるかなんて知らされてなかったけど、一際目立つ人ごみが視界に入ったからすぐそこなんだ、ってわかった。見たいけど、見るのが怖い。同じクラスに誰も知ってる人がいなかったらどうしようって。でも逆に皆一緒のクラスだったら、凄く嬉しいから。俺が人ごみの前で立ち止まってそんなことを考えていると、獄寺君が俺を呼んだ。
「十代目!俺がちょっくら見てきますよ!」
「え!?う、あ、でも…」
「俺も見てくるぜ」
「お前はいいんだよ!野球バカ!!」
「獄寺君、やっぱりみんなで見ようよ」
山本に牙をむいていた獄寺君は一瞬止まって、そうっスね、そうしましょう!と意気揚々に掲示板に向かっていった。山本がその後に続いたので、俺もさらにその後ろについていった。震える足で。
ああ、神様、せめて一人くらい知り合いのいるクラスにしてください!
俺はすばやく、でも名前を見落とさないようにひとクラスずつ見ていく。最初のクラスには俺も獄寺君も、山本もいない。
「あったぜ!」
「えっ!どこどこ?」
獄寺君が自分の名前を見つけた声で俺は探すのを一時中断し、獄寺君の見てた掲示板を見る。獄寺君は「こ」だからもし同じクラスなら近いところに「さ」の俺もいるかもしれないから。淡い期待を抱きながら。
「ほら!ここです。十代目もありましたよ!!」
「……ほんとだ!」
獄寺隼人、のすぐ下に沢田綱吉があった。さらに隣の女子の欄に笹川京子もあった。みんな、また一緒なんだ。これだけで新学期が乗り切れそうな気がした。
「おっ!ツナ、俺も同じだ!」
「ほんとだ!」
「チッ…野球バカもか」
下のほうを見たら、山本も一緒だった。こんなにみんな一緒でいいのかな。俺、一生分の運使い果たしちゃったんじゃないだろうか。
「また同じクラスですね!」
「だな!」


初めからこんなにいいことが続くと、次は大体嫌な事が起きるものだ。でも俺はそんなことも考えられないくらい、今の状況に満足していて。またみんなとずっと一緒にいられるんだと思うと、嬉しくってしょうがなかった。もう俺にとってはただの友達じゃなくて、家族という名の仲間だから、容易に離れるなんて出来ない。


「うん!」


駆け出していく先に待つのは、俺にとってかけがえの無い―――








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隼人と絡ませようと思ったけど思わぬ邪魔(山本)が入ったでござる。いや、山本好きだけど。山本みたいなお兄ちゃんとか楽しそう。ほんとは、「大好きな隼人と同じクラスになったツナ。また一緒にいられますね。また同じクラスだね。」みたいな2人だけの世界を書こうと思ったけれども。でもよく考えたら、山本絶対いるよね!って思って。あ、でも新学期早々朝練ってコトにしとけばよかったのか…!しまった…。気づくの遅すぎた…。
ちなみにクラスに全員集結できたのは裏でリボーンがやっちまったからです。お約束。