愛をくださいって言う人に、まだ愛はあげなくていいんですよ。 土銀

俺はいま非常に悩んでいた。これでもないかって位だ。
今日は3月14日。言わずもがな世間一般ではホワイトデーとされる日である。ホワイトデーは2月14日のバレンタインデーに女子からチョコレートを貰った男子がそれに対して最低でも3倍に相当するお返しをしなくてはならない…らしい。丁度俺は2月14日にチョコレートをたくさん貰った。そしてそれを食いまくった。しかしあれは貰ったというより、強奪したといってもいい状況だったような気がする。そうだ、確か俺はあの日、世間にチョコレートが充満しているにもかかわらず手元にわずかなチョコレートしかなかった。それに憤慨し、悶々としていたところ、俺と正反対に両手にいっぱい(ほんとはパトカーにいっぱいだった)チョコレートを持った土方が家に来て俺にそのチョコレートを食っていいといった。あれ?強奪じゃないや。食べていいっていわれたんだから強奪じゃなくてチョコ貰ったんじゃん。
「なーんだ、そうかぁ」
根本的なところがわかって俺はそうかそうかぁ、と一人で頷く。
「ってそんなことじゃないんだって!」
「よぉ」
「ひぃ!」
一人突っ込みが終わったと同時に土方が登場した。なんて悪いタイミングで来るんだこいつは。まだ俺の頭の中は入室禁止だっ。
「なに一人で喋ってたんだ?」
「あー?喋ってねぇよ」
どうしようどうしよう、何が問題なんだったっけか?あ、そうだお返しをするとか3倍がどうのこうのだ。
「お前、どうしたんだ?」
なんでも無いなんでも無い!ただお返しをすればいいんだ。お返し?するの?アレは土方が貰ったんだろ、俺が食ったけど。どうすりゃいいんだー!
「なぁ、何が欲しい?」
「あぁ?」
何聞いた?俺、今…。お返しする気満々じゃん。どうすんだ、ありえないもの要求されたら。ここは…先手を打つしかないな!
「今日ホワイトデーだろ、お前、バレンタインにチョコ持ってきたじゃねーか」
そのお返しだよ。お返しっつったら今日はそれしかねーよ!
「あぁ…そうだな…」
っていうより俺が返す前に、こいつは街のねーちゃん達にちゃんとお返ししてきたんだろうか。いや、してないだろうな…。前にあのドS王子に聞いたわ。バレンタインは後部座席の窓開けて街を一周するだけでパトカーがいっぱいになるとかそういう話。それじゃぁ誰がくれたのかわかんねぇもんな。
「あ……、かな」
「は?」
「だから…、愛だって」
「何いってんのお前」
「んなっ!お前が何が欲しいか言えっつーから言ったんだろうが!」
「…でも愛って…」
「…ッチ…」
土方の顔が真っ赤だ。そらしててもちょっと見えてる耳まで真っ赤だ。ていうか俺もちょっと赤くなってそうだなー顔、熱いもん。若いなぁ、こいつ。若いから愛が欲しいとか言っちまうんだよ。ったく。
「〜〜〜っだー!やめだやめ!やっぱやめた!!」
「あ?」
「やっぱりお返しなんてやらねー!」
「ってめ!」


愛をくださいって言う人に、まだ愛はあげなくていいんですよ。









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もこちゃんにあげます!なんだか連載貰っちゃってるお返しです(*´∇`*)こんな土銀でよければ…。でもこれ、ずいぶん前から考えてました。でも今日書かなきゃ意味無いからね。