N nectar (10 years later)

「じゅーだいめっ!」

目の前の大きな机にいるはずの十代目を呼んでみた。
机の上は、どうしたらこうなるのかというほどの未処理の書類が山積みになっている。
だから十代目がいても、埋もれていて見えなかった。
しばらくして、なーにー?という間の抜けた声が聞こえた。
あぁ、今日もコレか…と心の中でため息をつく。

「十代目、お仕事なさってください」
お願いですから、と机の真正面にきたが以前十代目の頭しか見えなかった。
本当に、どうしたらここまでためられるんだろうか。
リボーンさんがいないといつも素敵なオブジェが出来上がってしまう。

「もう無理だよー」
こんなにいっぱい、無理に決まってるよ、とどこに本人がいるのかわからないが声だけは聞こえた。
俺は困った。
今日中にコレを全部片付けてもらわないと、明日にはリボーンさんが帰ってくるからだ。
そうなったら十代目の命が危ない。
なんとしても片付けていただかないと…!

あ、そうだ。
「十代目、これ、今日中に終わったらごほうびをあげます」
言ったとたん十代目が急に現れた。ちょっとびっくりした。
「ごほうびって?獄寺君がくれるの…?」
なんか十代目の目が死ぬ気のときに似てた。
「そうです」
内容は終わってからのお楽しみです、と付け足した。
そしたら十代目はしばらく沈黙してから、わかった、俺やるよっていってくださった。
よかった…!これで十代目の命は大丈夫だ。





***

真っ赤な空に、暗い藍色がかかるころ。
「やったーーー!!!おわったよ!獄寺君!」
十代目は凄くうれしそうだった。俺も凄くうれしかった。
「さすがです!おめでとうございます!!」

「で?」
「え?」
「ごほうびだよ、獄寺君」
十代目はいつになく笑顔だった。
なんかいやな予感がしたが、今日は俺の先手必勝だ。

「はい。どうぞ」
俺が差し出したのはひとつのマグカップ
中身は十代目のお好きなココアだ。
マシュマロもたくさん入れて甘くしてある。
「うぁー!ココアだ!ありがとう!」
よかった、十代目が喜んでくださって(なんか影が見えるのは気のせいだろうか)
「お疲れ様です」





***

十代目はおいしそうにココアを飲んでいらっしゃった。
「あ、そだ」
突然十代目が言った。
なんですか?って返したら、こっちに来いって手招きされた。
とりあえず十代目の傍による。
かなり傍まできたら急にネクタイを引っ張られて、キスされた。
「十代目…」
「あまかった?」





コレおいしいよね。獄寺君の味がするもん。





―――――
獄寺君はココアのように甘いと…いう…わけですよ…
ちなみにタイトルは、花の蜜・甘くておいしい飲み物という意味です。
でもこの場合、ネクターだからきっとココアじゃなくて果汁ジュースとかだろうなぁ
ま、いっか