こっちを見て (10 years later)

十代目のおそばで書類を整理しているときだった。
俺はじっと自分を見つめる視線に気づいた。


後ろを振り向くと十代目と目があう。
十代目はにっこり笑っていた。
でもその視線がずっと離れないので、恥ずかしくなってついつい下を向いてしまった。


「どうしたの獄寺君」
声は優しいいつもの十代目でも、その視線は俺にずっと注がれている。


なんだか、何もかも見透かされそうで
服を着ているのに犯されてる気分だ


勇気を振り絞って十代目と目線を合わせた。
でもその視線は何かを思い出してしまう。
体が熱くなって、風邪を引いたみたいだ。
あぁ、やだな、俺、いま、絶対顔赤いんだろうな


「十代目、なんでこっちばっかり見てるんですか」


それはねぇ、と十代目は俺から視線を離さずに可愛く言う。
十代目は俺から視線を離さないけど、嘗め回すようには見たりしない。
それが唯一の救いだ。そんなことされたら、きっと耐えられない。


「獄寺君にこっち向いてほしかったんだ」
こっち見てーってテレパシー送ってたんだよ、と片手で頬杖をつく、いつもの調子でおっしゃった。
俺は一瞬、そんなの来たかな、と考えてしまった。
いくら十代目でもそれはないだろう。いや、できるのか?


「ねぇ、こっちに来てよ」
「俺はねぇ、君の全部が好きだけど」
言いながら、近づいた俺の頬を両手で包んでくださった。


「君のその瞳で見てほしいんだ」
俺もずっと君の瞳を見ていたい。




十代目はそういって祝福するように、瞼にキスを落とした。







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最初のツナ様は確信犯。仕事をサボっては獄寺を見つめる。むしろそれが仕事ですから。そしてリボーンに怒られますから。
さらに、そのあとリボーンはランボの目をじっと見つめてみますが、「何見とれてやがる、このどMが。ほしそうな顔しやがって」とかいって殴ってしまうんだろう。照れ隠しか。